フロアコーティング耐摩耗性評価試験|完全ガイド

この記事でわかること
- 耐摩耗性評価試験(テーバー摩耗試験)の仕組みと数値の読み方
- 「擦り傷に強い」という表記にエビデンスが必要な理由
- 第三者機関の試験結果報告書で確認すべき3つのポイント
- M&M取り扱い全6種の実測値(摩耗減量)と保証年数の関係
- データを開示しない業者を見抜く方法
フロアコーティングを選ぶとき、「擦り傷に強い」「耐摩耗性能が高い」という言葉をよく目にします。しかし、その根拠となる耐摩耗性評価試験のデータを公開している業者は、実際にはごく少数です。
試験データなしの「強い」という表現は、いわば自己申告に過ぎません。施工後に「思ったより傷がつく」「業者の説明と違う」といったトラブルを避けるには、事前に第三者機関が発行した試験結果報告書を確認することが必須です。
この記事では、フロアコーティングの耐摩耗性評価試験の仕組みから正しい数値の読み方、試験書で何を確認すべきかを専門家の視点でご説明します。
目次
フロアコーティングの耐摩耗性評価試験とは何か

耐摩耗性評価試験とは、コーティング塗膜がどれだけ削れにくいかを数値で示す試験です。荷重をかけた摩耗輪を塗膜に当てて一定回数回転させ、削れた重量(摩耗減量)をmg単位で計測します。
摩耗減量とは|数値が小さいほど耐久性が高い
試験結果に表示される「耐摩耗性 ○○ mg」の数値は、摩耗減量を指します。これは試験によって削れた塗膜の重量です。数値が小さいほど削れにくい、つまり耐摩耗性が高いことを意味します。
たとえば14mgと100mgを比べた場合、14mgの方が約7倍削れにくいと判断できます。この数値こそが「擦り傷に強い」という表現の根拠として機能するものです。
テーバー摩耗試験の仕組み|荷重・回転数・摩耗輪
国内で標準的に採用されているのはテーバー摩耗試験です。試験条件は規格ごとに定められており、主な要素は以下のとおりです。
- 荷重:9.8N(1kgf)
- 回転数:1,000回転
- 摩耗輪:CS-17(標準摩耗輪)
- 基材:木材(100×100mm)
この条件で1,000回転後に削れた重量を計測します。日常生活での歩行・ペットの爪・家具移動による摩耗を模擬した試験です。
JIS K 5665 と JIS K 5600-5-9 の違い
フロアコーティングの耐摩耗性試験には、主に2つのJIS規格が使われます。JIS K 5665:2016は路面標示用塗料を対象とした規格で、高硬度コーティングの評価に多く用いられます。
一方、JIS K 5600-5-9:1999は塗料一般試験方法として幅広い塗膜製品に適用される規格です。どちらもテーバー摩耗試験であり、荷重・回転数・摩耗輪の条件は同一ですが、適用規格が異なります。異なる規格の数値を参照する場合は、その前提を踏まえた上で判断することが重要です。
「擦り傷に強い」はエビデンスなしで使える言葉ではない

「擦り傷に強い」「耐摩耗性能に優れる」という表現は、フロアコーティングの広告や業者サイトで頻繁に目にします。しかし、その根拠となるデータを示しているケースは非常に少なく、これは業界全体の課題といえます。
自社発表と第三者機関試験は別物です
業者が独自に「当社製品は耐摩耗性が高い」と発表することと、第三者機関が試験を実施してデータを報告書として発行することは、まったく別物です。
自社発表はあくまでも自己評価であり、試験方法・試験条件・評価基準が不明なことがほとんどです。一方、第三者機関の試験結果報告書には試験機関名・依頼番号・試験方法・測定値がすべて記載されており、再現性と透明性が担保されています。
施工を決める前に、第三者機関が発行した試験結果報告書の存在を確認することがトラブルを避ける最低条件です。
試験書で確認すべき3つのポイント
試験結果報告書を受け取った際は、以下の3点を必ずご確認ください。
① 試験機関が第三者機関か
自社内の試験ではなく、日本塗料検査協会などの独立した第三者機関が実施・発行したものかを確認します。報告書に機関名と担当者の印があることが目安です。
② 試験方法(JIS規格)が明記されているか
「JIS K 5600-5-9」または「JIS K 5665」など、具体的な規格番号と試験条件が記載されているかを確認します。規格名のない試験値は根拠として使えません。
③ 製品名と数値が一致しているか
報告書に記載された品名が、実際に施工される製品名と一致しているかを確認します。別製品のデータを流用しているケースがあるためです。
データを開示しない業者はなぜ危険か
試験データの開示を求めた際に「企業秘密」「開示できない」と回答する業者には注意が必要です。耐摩耗性試験の費用は数万円程度であり、品質に自信があれば取得・開示を拒む理由はありません。
開示できない理由があるとすれば、試験を実施していないか、結果が芳しくないかのいずれかです。「口頭での説明のみ」「カタログ記載のみ」という業者とは、施工後のトラブル時に話が噛み合わなくなるリスクがあります。
M&M全6種コーティングの実測値を公開します(第三者機関試験)

M&Mフロアコーティングが取り扱う全コーティング製品について、一般財団法人日本塗料検査協会に依頼した試験結果をご紹介します。すべて第三者機関による試験であり、試験結果報告書が発行されている一次情報です。
| コーティング名 | 摩耗減量(mg) | 試験規格 | 保証年数 |
|---|---|---|---|
| セラミックガラスコーティング | 14 mg | JIS K 5665:2016 | 30年 |
| Mガラスコーティング | 28 mg | JIS K 5665:2016 | 20年 |
| Mシリコンコーティング | 45 mg | JIS K 5665:2016 | 20年 |
| M水性UVフロアコーティング | 68 mg | JIS K 5600-5-9:1999 | 20年 |
| ワン・ニャンすべらん | 78 mg | JIS K 5600-5-9:1999 | 30年 |
| M水性フロアコーティング | 103 mg | JIS K 5600-5-9:1999 | 10年 |
※摩耗減量は数値が小さいほど耐摩耗性が高くなります。JIS K 5665とJIS K 5600-5-9は適用規格が異なるため、数値の直接比較は参考値としてお捉えください。
セラミックガラスコーティング14mgが意味すること
セラミックガラスコーティングの摩耗減量は14mgです。JIS K 5665:2016に基づく試験で、荷重9.8N・1,000回転という条件下での計測値です。
日常的な歩行・ペットの爪・家具の移動に対して高い耐性を持つことをデータが示しています。30年保証の根拠の一つがこの数値です。
各コーティングの耐摩耗性と用途の対応
ワン・ニャンすべらんは摩耗減量78mgと中位の値ですが、ペット・子どもの滑り防止に特化した機能を持ち、30年保証が設定されています。耐摩耗性の数値だけで選ぶのではなく、用途・床材・生活環境に合わせた選択が重要です。
どのコーティングが最適かお迷いの場合は、フロアコーティングの種類・費用・選び方を詳しく解説した記事もあわせてご参照ください。
耐摩耗性と保証年数の関係

保証年数とコーティングの耐摩耗性には直接的な関係があります。摩耗減量が低い製品ほど長期にわたって塗膜の性能を維持できるため、長期保証の設定が可能になります。
摩耗減量が低いほど長期保証が成立する理由
保証とは「この期間、製品が本来の性能を維持する」という約束です。その約束が成立するためには、塗膜が摩耗によって消耗しないことが前提条件になります。
セラミックガラスコーティング(14mg)の30年保証は、この試験値が根拠の一つです。一方、M水性フロアコーティング(103mg)の保証が10年にとどまるのは、塗膜の耐久設計が異なるためです。保証年数と試験データはセットで確認することで、その保証が「根拠ある保証」かどうかを判断できます。
保証の具体的な適用条件については、施工品質保証のページで詳しくご説明しています。
耐摩耗性以外に確認すべき性能指標

耐摩耗性は重要な指標ですが、フロアコーティングの品質はそれだけでは語れません。施工前に確認すべき性能指標は複数あります。
鉛筆硬度試験(JIS規格)
鉛筆硬度試験は塗膜の表面硬度を評価する試験です。JIS規格の鉛筆硬度試験では、最高表記が6Hとなっています。セラミックガラスコーティングはJIS規格試験で6H(規格最高値)を確認した後、さらに6H超を計測できる専門機関による追加試験を実施し、9H相当であることを確認しています。
鉛筆硬度と耐摩耗性はどちらも塗膜の硬さに関係しますが、評価する側面が異なります。両方のデータをご確認いただくことが望ましいです。
密着性・耐薬品性・防汚性
密着性は塗膜が床材から剥がれないかを示す指標です。密着不良があると保証期間内であっても剥離トラブルの原因になります。耐薬品性は洗剤・アルコール・食品汚れに対する耐性を示し、日常的な清掃で使う成分で塗膜が劣化しないかの確認が必要です。
防汚性は汚れを弾く性能です。撥水・撥油性の高い塗膜は日常的なメンテナンスの手間を大幅に削減できます。各試験データの詳細は性能評価試験のページでご確認いただけます。
向かないケース・注意点・保証対象外条件

耐摩耗性の高いコーティングであっても、床材や使用環境によっては向かないケースがあります。
施工が難しい・対応要確認の床材
- コルクフローリング:コーティング剤が浸透しすぎる場合があります
- クッションフロア:下地が柔らかく密着性が低下する場合があります
- 既存ワックスが厚く残っている床:完全除去が必要で追加費用が発生する場合があります
保証対象外となる主な条件
- 水濡れを長期間放置した場合
- 施工後の床材の反りや膨らみ(下地・建物起因の場合)
- 入居後の傷・へこみ・変色(生活起因)
- ご自身でのメンテナンス剤使用による変質
耐摩耗性が高くても、保証対象外の条件でのダメージはカバーされません。施工前に保証範囲を業者と明確に確認しておくことが重要です。
施工業者を選ぶ際の品質基準として、日本ハウスコーティング協会(JHCA)の加盟店基準も参考になります。加盟店は保証引継制度の対象となるため、万が一業者が廃業した場合も保証が継続されます。
よくある質問(FAQ)
- Q. 耐摩耗性評価試験のデータを業者に請求しても大丈夫ですか?
- A. 当然の確認事項です。品質に自信のある業者は試験結果報告書を提示できます。「開示できない」と回答する業者は試験を実施していない可能性があるため、注意が必要です。
- Q. 摩耗減量の数値はどれくらいが目安ですか?
- A. 数値が低いほど耐摩耗性が高くなります。高品質なフロアコーティングでは50mg以下が一つの目安です。セラミックガラスコーティングの14mgは、業界内でも非常に優れた値です。
- Q. JIS K 5665とJIS K 5600-5-9の試験結果は同じ基準で比較できますか?
- A. どちらもテーバー摩耗試験で試験条件は同一ですが、適用規格が異なるため厳密な比較には注意が必要です。同一規格内での比較が最も信頼性が高く、異なる規格の数値は参考値としてお捉えください。
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